北大糾弾ニュース 2013 年 11月11日 40号

         東京大学のアイヌ遺骨・副葬品の返還を求める申し入れ行動を行なう
                             ピリカ全国実・関東グループ(大盛 力)
 
 10月18日午後、川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんと宇梶静江さん(首都圏在住)の2人のアイヌ民族と共に、「東大のアイヌ民族遺骨を返還させる会」(以下、「東大・返還させる会」)の仲間達が、東大に対するチャランケ(話し合い)を求めて本郷キャンパスに結集した。
 東京大学当局(総合企画室総務課)は、事前の申入れに対して、アイヌ民族遺骨は「適切に保管している」等と理由にならない理由で、話し合いを拒否してきた。本部棟の正面玄関には警備員と職員が立ちふさがり、一切私たちの質問に応え無いばかりか、パトカー2台と10数人の制服警官が駆けつけ申入れ行動を監視・威圧してきた(写真・裏面)。私たちは、「遺骨と副葬品をアイヌ民族に返還せよ」とシュプレヒコールを叩きつけ、東大赤門前で情宣活動を行ない、夕方からの「東大のアイヌ民族遺骨を返還させよう10/18集会」(共同主催・「東大・返還させる会」/ピリカ全国実・関東グループ)に合流した。
  「10/18集会」は、主催者あいさつとして以下、述べられた。
〈東京大学は、「慰霊・研究施設」建設のために文部科学省が調査した「回答」(「調査票)で、「個体ごとに特定できたもの」の合計198体、「個体が特定できなかったもの」合計6体と記載している。そのほとんどを採集したのが小金井良精医学部教授である(「個体」182体、「特定できないもの」6体)。小金井は、1888〜1889年にかけて北海道や北方諸島でアイヌ民族の墓を暴き頭骨や副葬品を略奪した。彼はアイヌ民族を「無気力の人種」「頽廃人種」と決めつけ、「何れ〔いずれ〕滅亡するであろう」などと「滅びゆく民族論」を唱えた。これこそ「優勝劣敗」の社会ダーウィニズム(社会進化論)である。
 また東大は、アイヌ民族の血液を「二度と再び採血できぬ貴重なもの」と自慢し、保管している(「東京大学学内標本資料の概要」1976年発行)。
 東大は、創立以来、一貫して全国の大学の頂点として君臨し指導・領導してきた。国家政策のためのアイヌ差別研究も同様である。私たちは今日の闘いを第一歩として、アイヌ民族の遺骨と副葬品の返還をかちとるために東大に対する闘いをひろげげよう。〉
 川村さんは、北海道大学医学部が、今年3月に発表した「報告書」について、怒りを込めて弾劾した。1985年、北大から川村さんたち旭川に5体が「返還」された。しかし「報告書」は、現在も北大には「返還済み」と同じ地域と識別番号が記載している遺骨2体(全体では釧路2体、門別1の合計5体)が存在しているというズサンきわまりないものだ。川村さんは、北大、東大、京大、阪大に対する闘いを強化して、2018年に完成予定の「慰霊・研究施設」建設に反対しようと提起した。宇梶さんは、「遺骨は、大地に返すべきだ」と訴えた。集会は、今後の闘いにむけ質疑討論を行ない終了した。 
 
 

北大糾弾ニュース 2014年 1月10日 41号

                    各大学の姿勢に現れる研究至上主義
                                          木村 敬(ピリカ全国実・関西)
 「慰霊・研究施設」の計画が具体化されていくにあたり、このままでは、日本は世界の潮流とは逆の方向へ向かおうとしていることに危惧を覚えずにはいられない。
 先住民族の運動の高まりの中で成立した国連の先住民族権利宣言は、先住民族から奪ってきた遺骨返還につながっている。2011年3月にはロンドン自然史博物館から、オーストラリアのアボリジニの遺骨(ちなみに集めたのは、英国海軍や宣教師である)138柱を返還するにいたり、最近でも2013年8月には145人のハワイ先住民族の祖先の遺骨が故郷の島に返る等、多くの成果につながっている。(なお、川村さんが、ロンドン自然史博物館にアイヌ民族の遺骨返還を求めた旨、話されていたことも忘れてはならない)
 それどころか1990年に、アメリカでは、『アメリカ先住民墓地保護・返還法』が定められ、当該「部族」や遺族に返還するように義務付けられている。
 一方で日本では、調査したが分からない場合、「慰霊・研究施設」に入り、「研究」し続けられると言うのだ。これでは、泥棒に「盗んだ品物を責任を持って返しなさい。無理なら自分の懐に入れて良いですよ」というようなものだ。実際、その調査のずさんさは次々に明らかになっている。それどころか、最初から「移管」ありきで、調査すらしていない大学もあるようである。
 しかm、こういった潮流を作り上げている中に、人権を売りにしている学者がまぎれている。彼らは、世界のこのような事実を知らないはずがない。自分たちの人権感覚を問われた時に、まったく耳を傾けることなく、黙して語らず、時には批判する人を容赦なく攻撃してくる。私はアイヌ民族を侵略した恩恵を受けてきた者として、恥ずかしく思うが、彼らにはそのような自尊心すらないのだろうか?
 結局は、学問の正当性などではなく、自らの地位に執着しているようにしか見えない。このようなものにみかけの正当性を持たせているのが、日本の学問体系である。このようなものが、世界で通じる学問になりえるはずがない。

各地の集会案内

◆1月26日(日)午前9時〜午後4時〜デモ行進
 「北方領土の日」反対!北大人骨事件糾弾!アイヌ新法実現!第20回札幌全国集会
 〜「領土」併合反対・遺骨返還問題の前進こそアイヌ民族の先住権・自決権を切りひらく
 場所‥北海道クリスチャンセンター・ホール/主催‥ピリカ全国実
◆2月5日(水)午後6時半〜「北方領土の日」反対!関西集会
 場所‥エルおおさか/主催‥ピリカ全国実・関西
◆2月6日(木)午後6時半〜「北方領土の日」反対!アイヌ民族連帯関東集会
 場所‥渋谷区勤労福祉会館/主催‥ピリカ全国実関東グループ
◆2月7日(金)午後5時30分開場 第10回「北方領土の日」を考える企画
 「琉球&アイヌの自己決定権」シンポジウム
 場所‥沖縄国際大学5号館106号室/主催‥シンポジウム実行委員会
 

2・6「 北方領土の日」反対!アイヌ民族連帯!関東集会 白老「慰霊・研究施設」建設反対! アイヌ民族遺骨・副葬品をコタン(郷土)に還せ!

日 時 201426日(水)午後630分開場
会 場 渋谷区勤労福祉会館 渋谷区神南1-19-8
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kinro.html
主 催 「北方領土の 日」反対!アイヌ新法実現!全国実行委員会
      (略称・ピリカ全国実)関東グループ  
資料代 1000円                   
 
講 師 
川村シンリ ツ・エオリパック・アイヌさん
(旭川アイヌ協議会会長)
海原 剛さん
(北大人骨事件真相究明緊急会議 史的唯物論研究所) 
 
川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんプロフィール
 1951年旭川市近文 コタンに生まれる。「シンリツ エオリパック アイヌ」は、 おばのユーカラ伝承者の故砂沢クラさんが命名。「先祖を大事にする人」という意味。父カネトは測量技師で飯田線(愛知県)を測量し た。26歳で川村カ子トアイヌ記念館館長になる。1985年、旭川では28年ぶりのイオ マンテ(熊送り)を行う。旭川アイヌ語教室やチカップニアイヌ民族文化保存会などの活動の中心的存在。現在、旭川アイヌ協議会会長。 『アイヌ民族の団結と権利奪還にむけた共同宣言』(2013年9月)のよ びかけ共同代表。ピリカ全国実副代表。
 
領土ナショナリズムに反対しよう
 安倍政権は改憲・戦争国家に向け、領土ナショナリズムと民族排外主 義をいっそう煽動しています。「尖閣諸島開拓の日」(1月14日)、「北方 領土の日」(2月7日)、「竹島の日」(2月22日)は「明治」天皇制国家の領土拡張・分割を「賞賛」して「記念日」となっています。そしてこの3地域を「日本固有の 領土」とのデマ・ キャンペーンを張り、式典などを盛大に開催しようとしています。私たちはこうした領土ナショナリズムと民族排外主義によって東アジア の戦争の危機を増幅さ せることに反対します。
 
2.7「北方領土の 日」に反対しよう
 私達ピリカ全国実は1996年結成以来、日本政府が1981年閣議決定した「北方領土の日」(2/7)に一貫して反対してきました。北海道、サハリン、北方諸島はアイヌ 民族をはじめとする北方諸民族が住み自由に往来する「アイヌモシリ」(人間が住む静かな大地)でした。
 しかし、19世紀後半から 日ロ両政府による領土略奪によって、アイヌ民族は虐殺され土地は奪われ強制移住させられ「アイヌモシリ」は分割支配されてきました。
 私達は、アイヌ民族・北方諸民族への侵略植民地支配に対する謝罪も賠償もないまま続けられている日ロの 「領土交渉」に反対します。日ロ「領土交渉」自身が、アイヌ民族に対する先住権・自決権を否定する同化・抹殺攻撃そのものだからで す。
 
「慰霊・研究施設」建設反対!
 日本政府・アイヌ政策推進会議(座長・菅官房長官)は、旧帝国大学 などが盗掘・略奪してきたアイヌ民族の遺骨と副葬品を一ケ所に集め、引き続き差別的「研究」を行おうとしています。北海道白老町に建 設予定の「慰霊・研究施設」は、2020年東京オリン ピックに合わせて完成を目論まれています。
 そもそも強奪されたアイヌ民族の遺骨と副葬品は、戦前戦後を通じて東大、北大、京大、阪大など医学部解 剖学や人類学の教授達によって「アイヌ民族滅亡論」のために強奪されたものです。
 昨年おこなった文部科学省の「大学等におけるアイヌの人骨保管状況 等に関する調査」によっても、全国11大学で 1635体が報告されています。しかも身元が「判明」している遺骨は、たった20数体に過ぎません。文部科学省の今回の「調査」 は、初めに「慰霊・研究施設」ありきであり、遺骨と副葬品の強奪の真相究明や返還のための調査ではありません。「慰霊・研究施設」 は、国家的なアイヌ差別 研究をおこなう拠点づくりであり、日本政府のアイヌ民族政策(=同化完了)のショーウィンドウとして機能することは明らかです。
 
アイヌ民族遺骨・副葬品をコタン(郷 土)に還せ!
 この間、多くのアイヌ民族がアイヌ民族遺骨と副葬品の返還、「慰霊・研究施設」建設反対の闘いに立ちあ がっています。昨年9月に発した「アイヌ民族の団結と権利奪還にむけた共同宣言」にはアイヌ民族から多くの賛同が寄せられています。  
  私たちは、2月6日「北方領土の日」反対!アイヌ民族連帯!関東集会を開催します。集会は東大、北大、京大、阪大などが略奪したアイ ヌ民族遺骨と副葬品を アイヌコタン(郷土)に返還させる闘いと結合して取り組みたいと思います。参加・賛同を訴えます。             201416
 
★賛同金は個人1口、1000円/団体1口、3000
 ※郵便振込先 00100-8-77543 ピリカ全国実関東
★連絡先住所 
 ピリカ全国実関東グループ 
 渋谷区恵比寿4-19-5ホワイトハイ ツ鈴木103 電話 03-3446-9058
ブログ『ピリカモシリ』 http://pirikagento.jugem.jp/
 

ピリカ全国実行委員会の会報『ピリカモシリ』65号を発売中

内容
・連載「日本とサハリン・クリル列島」
・関西・関東でのアイヌ民族との交流会
・『北大医学部アイヌ人骨調査報告書』批判
・アイヌ政策推進会議の経過とその路線批判
・聞き書き(宇梶静江さん)
・シリーズ『旭川アイヌ語辞典』を読もう
・私にとっての「北方領土」反対論
ほか

一部300円(送料80円)
年間購読4回(1600円、送料込)
申し込み先・ピリカモシリ社
011−375−9711(FAX兼用)


 

第20回札幌全国集会のよびかけ

「北方諸島」・独島(竹島)・釣魚諸島(尖閣)の併合に反対する
アイヌ民族遺骨を故郷(コタン)に返せ!

戦争と結びついた「領土」併合を許すな
 安倍政権は先の臨時国会で戦争の司令部創設のための「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法」および、それと一体の情報統制と人民治安弾圧のための「特定秘密保護法」を強行成立させ、改憲・戦争国家体制確立を急ピッチで推進しています。
 それは中国・朝鮮民主主義人民共和国をターゲットにした先制・報復攻撃を含む武力攻撃の決定を下す危険極まりない体制づくりにほかなりません。離島奪還演習(自衛隊3軍統合・約3万4000人)に公然と踏み出し、中国の防空識別圏設定に対し、安倍政権とオバマ米政権は軍事衝突も辞さずとの対決姿勢をとりました。このような戦争国家体制確立の攻撃のなか、独島(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)、北方諸島を「わが国固有の領土」とする「領土ナショナリズム」がますます扇動・強化されることは必定です。日本国家権力の一方的・挑発的な領土・領海の拡大・併合と闘わなければナショナリズムを批判することはできません。

「慰霊・研究施設」(白老)の建設に反対しよう
 アイヌ民族遺骨問題は今、重大な局面をむかえています。日本政府・アイヌ政策推進会議は、さる9月11日、旧帝国大学などが盗掘・略奪してきたアイヌ民族の遺骨・副葬品を一ヶ所に集めてひきつづき「研究材料」にするため、北海道白老町に建設予定の「慰霊・研究施設」を2020年東京五輪に合わせて完成させることを明らかにしました。また高橋はるみ北海道知事は政府に2018年への前倒しを要請しています。
 文科省は全国の大学に「大学等におけるアイヌの人骨保管状況等に関する調査」を行いましたが、それはあくまでも「人骨保管状況等」の調査であり、大量の人骨収集に至った真相を究明し遺骨返還を進めるためではなく、それを隠蔽しアイヌ民族遺骨問題の幕引きのためにほかなりません。
 アイヌ民族はこのような日本政府の「アイヌ民族同化完了宣言」政策を弾劾して、「共同宣言」を発しました。それは、日本政府に先住権、民族自決権、集団的権利を要求するとともに「慰霊・研究施設」建設に反対し、北大に対してはデタラメな「調査報告書」の撤回と謝罪を求めるものです。

北大・東大・京大・阪大等の遺骨・副葬品の故郷返還を
 このアイヌ民族の闘いに連帯し、日本労働者人民は東大、すでに開始されている北大、京大、阪大などの旧帝国大学や研究機関による墓地破壊、遺骨・副葬品略奪の真相究明、遺骨の郷里(コタン)への返還の闘いをさらに前進させ全国的大衆的拡大を勝ち取らなければなりません。
 東大、京大、阪大はアイヌ民族の遺骨返還などのための話し合いを要求する申し入れに対し、門前払いの回答をよこし、あろうことか申し入れ行動に対して物々しい警備体制をもってむかえる始末です。彼ら大学当局は国立「慰霊・研究施設」へのアイヌ民族遺骨の移管による幕引きをもくろんでいます。「慰霊・研究施設」建設を、全力をあげて阻止しなければなりません。

琉球民族の自決権を支持し基地建設を阻止しよう
 安倍政権の戦争国家化攻撃と一体に沖縄(琉球)の軍事植民地化、南西諸島の軍事要塞化がますます強化されています。辺野古新基地建設にむけた切りくずし攻撃も激しくなっています。
 このようななかで、先進的な沖縄(琉球)人民は、「全米軍基地撤去」「琉球独立」をかかげ、自決権獲得の闘いにふみだしています。昨年(12年)10月のオスプレイ配備に対し、沖縄(琉球)人民は体を張った全ゲート封鎖の闘いを展開しました。また3軍統合の「離島奪還」訓練でミサイル連隊上陸に対して、宮古島平良港では住民らがミサイルを積んだ軍事車輛の前に座り込み実力抵抗で闘いぬいてます。問われているのは日本労働者人民のヤマトにおける反戦・反基地闘争の創出です。

 多くの仲間のみなさんが「北方領土の日」反対各地集会に参加、賛同されることを呼びかけます。

*2月5日 漢最終回 午後6時半 エルおおさか(天満橋)
*2月6日 関東集会 午後6時 渋谷勤労福祉会館
*2月7日 沖縄集会 午後6時 沖縄国際大学5号館106号室

2013年12月18日

 

集会テーマ「領土」 併合反対・遺骨返還の前進こそアイヌ民族の先住権・自決権を切りひらく

2014年1月26日(日)午前9時半〜午後7時
会場・北海道クリスチャンセンター大ホール(札幌市北区北7条西6丁目)
資料代1000円

午前の部
・基調報告(ピリカ全国実全国運営委員会)
・アト゜イ(アイヌ民族、作曲家)
・石垣金星(琉球八重山・西表島在住)
・海原剛(北大人骨事件真相究明緊急会議、史的唯物論研究所)
・河村シンリツ エオリパック アイヌ(旭川アイヌ協議会)

午後の部
・東京大学、大阪大学、京都大学に遺骨の返還などを要求し活動している仲間
・平田幸(アイヌ民族、レラの会)
・島崎直美(チカラニサッタ共同代表)
・旭川アイヌ協議会
・石井ポンペ(現在、アイヌ民族の権利を取り戻すウコチャランケの会)
・鎌倉圭子(札幌・アシリチェップノミ実行委員会)
・貝沢耕一(予定、アイヌ民族)
・萱野志朗(萱野茂二風谷アイヌ資料館館長)
・札幌のアイヌ民族
・葛野次雄(静内在住、葛野辰次郎、アイヌ精神文化を学ぶ会代表)
・村山友子(沖縄)
・塚田タカヤ(ミュージシャン)
・森山軍治郎(北大人骨問題の真相を究明する会)
・全国、道内各地から

集会宣言の採択 
デモ行進(出発・午後3時45分予定)
ピリカ結成20年記念コンサート、懇親会 午後5時〜7時(会場・同上)
参加費(弁当付、ただし飲み物は実費)1000円(小学生以下無料)
出演 石垣金星(八重山民謡) 
   石井ポンぺとアイヌ民族の皆さんによるウポポと踊り
   塚田タカヤ(自作のフォーク・ソング)
   【敬称略、順不同】

 

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